そういえば昔、死んだ、ばあちゃんが、嘘()きには、三つ種類があると言っていたことを思い出す。

一つ目はただの嘘()き。二つ目は、悲しい嘘()き。三つ目は、相手を想う優しい嘘()き。

ーーーー砂月は、俺に嘘を()かなかった。駿介の言う通りだ。それだけで充分だろう。いつも誰かに言われてから、気づく、俺は、大馬鹿者だ。

俺は立ち上がった。砂月に謝りにいこう。

「いってらっしゃい」

駿介が寝転んだまま、形の良い唇を引き上げた。

「どうも」

斜面を下りながら、見上げた、藍の空にかかる半月は、いつの間にか雲の衣を脱ぎ捨てて、どうしようもない俺達を、ただ煌々と静かに照らしていた。