「……うん、一緒に帰る子がいるからって、私のこと……だよね」

何だか、心の中が透けてしまいそうで、砂月の顔が見れない。

「砂月以外に誰がいんだよ」

「私のせいで……彰、本当は行きたかったのかなって……綺麗な子だったし」 

か細く呟く砂月の声に、俺は心の中で舌打ちした。

(何でそうなるんだよ。俺は砂月にしか興味ねぇんだよ!) 
って素直に言えたらどんなにいいだろう。

「別に俺、デートとか興味ねぇし」

(ーーーー違うな、砂月とのデートしか行きたくないだけ)

言葉選びに失敗したかな、と思いながら、砂月をチラッと見れば、砂月は、神妙な顔ををしてた。

「そんな顔すんなよな、俺は、憑かれるの
心配だから、砂月と帰りたいんだよっ」

精一杯の言葉と共に、砂月のおでこをコツンと突いてやる。

「彰、有難う」

砂月がようやく、エクボを見せて笑った。

その瞬間、俺の心臓は大きく波打つ。

ーーーーずっと砂月の側に居たい。砂月の側で砂月の手を引くのが俺の役目だから。

それに、本当はゴキブリとか、憑かれるとかよりも、砂月は、俺のモノだって、皆に見せたいから手を引いてることを、知ったら、砂月はどんな顔するんだろう。