「先代は一途だったのね。後宮にはたくさんの妃妾がいるのに、この人と決めた女性以外、相手にしなかった」

「真に一途なら、麗影様以外の女性と子供は作らないだろ」

「でも、世継ぎを作る責任があるわ。皇帝だもの」

「俺なら、誰がなんと言おうと愛した女性を守る。責任だろうが使命だろうが関係ない。愛した女性と共に生きていけるのならそれでいい」

 熱っぽく語る劉赫の言葉は、なぜか胸にじんときた。

「案外、情が深いのね」

「生涯愛する女性は一人でいい」

 劉赫は、真っ直ぐに雪蓉を見た。

なぜか気恥ずかしくなって、雪蓉は目線を逸らした。

「愛する女性が見つかるまで女遊びはやめないと真実味がなくなるわよ」

「女遊びなどしていない」

 心外だ、と言外に訴えかけている。

「しようとしていたじゃない」

「いつ? 誰に?」

「私によ」

 劉赫は開いた口が塞がらないといった様子で、雪蓉を見つめた。

(まるで気が付いていないのか、俺の気持ちに)

 大きな石で殴られたような衝撃だった。

(好きだと伝えようか、今、ここで)

 しかし、告げたとしても振られることは明らかだ。

断言してもいい。

告白すれば間違いなく失恋する。

というか、もうすでに振られている気がする。