大きな鍬を肩に担ぎながら、雪蓉は小さな女巫たちの元へ闊歩した。
現在、女巫は雪蓉を入れて五人。
いずれも親から捨てられた子供たちだ。
様々な家庭の理由はあれど、妓楼などに売られる子供も多くいる中で、饕餮の女巫になったことを不幸と感じる者はいない。
同じような境遇の者同士が身を寄せ合い、助け合って家族のように生活している。
最初は泣き暮らしていた子も笑顔になっていく、ここはそんな温かな場所だった。
畑仕事を終え、背負い籠の中に収穫した野菜を山盛りに入れて、彼女たちは家へと戻った。
一世帯しかいないとはいえ、彼女たちが住む土地はとても広く、建物も多かった。
鶏小屋に、豚と馬小屋。
仙の居宅に、女巫たちが眠る家屋。
厠や風呂場など、全てが独立した建物になっている。
彼女たちは真っ直ぐに厨房専用の屋舎へと入ると、手際よく調理を始める。
女巫の一番の務めは、饕餮に捧げる調理作りだ。
饕餮とは、悪神と呼ばれる四凶の一つで、暴食の化身だ。
ひとたび地に放たれれば、永遠に食べ続ける。人や動物、魚や虫、植物など手あたり次第に貪り続け、その欲望はとどまるところを知らない。
そんな恐ろしい霊獣を鎮めるのが仙と呼ばれる者である。
仙は、山中に入り修行を極め、神変自在の術を得た人のことをいう。
仙は、食べ物に術をかけ、満腹を知らぬ饕餮の腹を満たすことができる。
女巫が食べ物を調理し、それに仙が術をかける。そうやって饕餮を鎮め続けてきたのである。
「さあ、始めるわよ」
雪蓉は、台所に並べられた大量の食材を見つめて、にやりと笑った。
五歳の時に、この地に捨てられ女巫となり、早いもので十三年となる。
最初は包丁を持つことさえ危うかった少女が、今では立派な調理師となった。
畑仕事も、鶏や豚を屠殺するのも慣れたものだが、一番得意で大好きな仕事は調理だ。
調理を極めて仙になる。
これが彼女の夢であり目標だった。
仙を継ぎ、身よりのない子供たちを育てたい。
だから雪蓉は結婚する気など毛頭ないのだ。
現在、女巫は雪蓉を入れて五人。
いずれも親から捨てられた子供たちだ。
様々な家庭の理由はあれど、妓楼などに売られる子供も多くいる中で、饕餮の女巫になったことを不幸と感じる者はいない。
同じような境遇の者同士が身を寄せ合い、助け合って家族のように生活している。
最初は泣き暮らしていた子も笑顔になっていく、ここはそんな温かな場所だった。
畑仕事を終え、背負い籠の中に収穫した野菜を山盛りに入れて、彼女たちは家へと戻った。
一世帯しかいないとはいえ、彼女たちが住む土地はとても広く、建物も多かった。
鶏小屋に、豚と馬小屋。
仙の居宅に、女巫たちが眠る家屋。
厠や風呂場など、全てが独立した建物になっている。
彼女たちは真っ直ぐに厨房専用の屋舎へと入ると、手際よく調理を始める。
女巫の一番の務めは、饕餮に捧げる調理作りだ。
饕餮とは、悪神と呼ばれる四凶の一つで、暴食の化身だ。
ひとたび地に放たれれば、永遠に食べ続ける。人や動物、魚や虫、植物など手あたり次第に貪り続け、その欲望はとどまるところを知らない。
そんな恐ろしい霊獣を鎮めるのが仙と呼ばれる者である。
仙は、山中に入り修行を極め、神変自在の術を得た人のことをいう。
仙は、食べ物に術をかけ、満腹を知らぬ饕餮の腹を満たすことができる。
女巫が食べ物を調理し、それに仙が術をかける。そうやって饕餮を鎮め続けてきたのである。
「さあ、始めるわよ」
雪蓉は、台所に並べられた大量の食材を見つめて、にやりと笑った。
五歳の時に、この地に捨てられ女巫となり、早いもので十三年となる。
最初は包丁を持つことさえ危うかった少女が、今では立派な調理師となった。
畑仕事も、鶏や豚を屠殺するのも慣れたものだが、一番得意で大好きな仕事は調理だ。
調理を極めて仙になる。
これが彼女の夢であり目標だった。
仙を継ぎ、身よりのない子供たちを育てたい。
だから雪蓉は結婚する気など毛頭ないのだ。