震える小さな女巫たちを抱きしめながら、彼らの様子を窺う。

 すると彼らは大きな声で「潘 雪蓉はおるかー」と叫んでいた。

(あの人たちの目的は、私……?)

 林から彼らの前に出て行こうとする雪蓉に、小さな女巫が裾を掴んだ。

不安そうに見つめる彼女たちに、雪蓉はにっこりと微笑む。

「大丈夫よ、私は何も悪いことなどしていないもの」

 小さな女巫は、掴んでいた袖を離した。

(そうよ、大丈夫。何が目的か分からないけど、仙婆一人に任せて、隠れているわけにはいかないわ)

 雪蓉は意を決して、彼らの前に歩み出た。

「潘 雪蓉は私よ!」

 遠くまで響く、威勢のいい声に、大勢の武官たちは一斉に雪蓉の方に振り向く。

 体格が良く頑強そうな男たちの視線を一身に浴び、さすがの雪蓉も肝が冷えた。

しかし、それをおくびにも出さず、背筋をしゃんと伸ばした。

 男たちを睨み付けるように佇んでいると、仙と話していた位の高そうな武官が雪蓉に歩み寄ってきた。

「お主が雪蓉か。なるほど……」

 位の高そうな武官は、まるで雪蓉を値踏みするように視線で舐め回す。

当然、いい心地のしようもない雪蓉は毅然(きぜん)と口を開いた。

「私に何の用があって?」

「ある御方が、貴殿に用があり、わざわざ兵を引き連れ参った」