雪蓉は、ありったけの勇気を振り絞って頷いた。

緊張と恥ずかしさで顔が真っ赤になっている。

 劉赫はまるで触れてしまえばすぐに割れてしまう繊細な宝物に手を触れるように、ゆっくりと指先で雪蓉の頬を撫でた。

 軽く触れられただけの指先にさえ、体がびくっとなって強張る。

 劉赫の指先は、頬を撫でて、耳の後ろを伝い、首筋を這う。

 雪蓉は体に力を込めるように、ぎゅっと目を瞑った。

「好きだ。ずっと好きだった。そして、これからもずっと好きだ」

「私も……」と言おうとして、目を開けると、劉赫の顔が目の前にあった。

あっと思った瞬間に唇をふさがれていて、もう一度目を閉じた。

 唇から感じる劉赫の熱量に溺れる。

息の吸い方がわからなくて、唇を離した途端、息遣いが荒くなる雪蓉を見て、劉赫は愛しそうに目を細めた。

「可愛い」

「もう、ちょっとこれ以上は……」

「どうしようかな、ずっと待っていたから。好きだって言ってくれたら、ここでやめてもいいよ」

 劉赫は、全身から色気を漂わせながら、試すような瞳で雪蓉を見る。

「……好きよ」

 照れくさそうに言った雪蓉があまりにも可愛くて、劉赫は再び雪蓉の唇を奪う。

「嘘つき。これでやめるって言ったのに」

 恨めしそうに劉赫を見上げる雪蓉に、劉赫は悪びれもせずに甘い言葉を浴びせる。

「仕方ないだろ、雪蓉が可愛すぎるのがいけないんだ」

 そしてもう一度、口付けを落とす。

何度も、何度も。



【完】