宝珠が散りばめられた薄絹の天蓋(てんがい)が寝台を覆っており、金襴杢目(きんらんもくめ)で彩られた壁や柱は華やかな重厚感を放っている。

かわせみの緑の美しい羽で飾ったたれぎぬと、紅く塗られ飾られた寝室はまさに翠帳紅閨(すいちょうこうけい)の豪奢な造りとなっていた。

出来上がって、初めて寝所を訪れた雪蓉は、あまりの立派さにしばらく言葉を失っていた。

「どうだ、これがこれから俺たちが愛を育む場所だ」

 劉赫が得意そうに披露しているので、雪蓉は目を細めて呆れながら言った。

「そういう言い方好きじゃない」

 一刀両断されたので、劉赫は少なからず傷ついた。

「そもそも一緒の寝所にしなくてもよくない? 後宮に立派な室があるんだから」

「後宮はなくそうと思っているんだ」

 劉赫は腕を組んで、雪蓉の隣に立った。

「そんなことできるの?」

「できる。俺がやると言ったらやる」

 劉赫は自信満々にこたえた。

「でも色々反対の声もあるでしょう。そこまですること?」

 雪蓉が隣の劉赫を見上げながら言うと、劉赫は得意気に言った。

「雪蓉にいらぬ心配事はさせたくないんだ」

「私が嫉妬するかもってこと? しないわよ」

「しろよ、少しは!」

 しれっと言われて、劉赫は盛大に突っ込む。