「だから、それが脅しだって言ってるのよ。

私が皇后にならなきゃ皇帝を捨てるってめちゃくちゃでしょう。

そんなことできるわけない」

「できる。できたから俺がここにいるんだ」

「どうやって。あなたの体には神龍が宿っているのよ」

「そこが厄介なんだよな。皇帝は捨てたが、他に皇帝ができる者がいない。

雪蓉が国のために皇帝が必要だというなら、俺が死ぬしかないな」

「なんてこと言うのよ!」

 さすがに看過できないので、顔を上げて非難する。

「雪蓉が望むなら、死んでもいいよ」

 劉赫は穏やかな顔で笑った。

「嫌よ、絶対嫌」

 雪蓉は劉赫の目を真っ直ぐに見つめて言った。

(劉赫が死ぬなんて、耐えられない)

「じゃあ、俺の妃になれ」

「また命令?」

「違う、命懸けの求婚だ」

 劉赫は、にやりと口角を上げて悪戯気に微笑んだ。

(劉赫らしい。……負けたわ)

 なんだか一気に脱力した。

どんなに抗おうとも、劉赫は雪蓉を諦めない。

それならば……。