「俺のせいで雪蓉が仙になってしまったと思っていたんだ。どれほど俺が後悔していたかわからないだろ」

「わからないわ」

「どれほど俺が、お前を愛しているか」

「……わからないわ」

 これ以上言われたら泣いてしまうと思って、劉赫の胸に顔を押しつける。

もう言わないでほしいのに、どうしようもなく愛しい。離れたくない。

(私がどれだけあなたを好きか、知らないでしょう)

「わからなくたって、わかるまで言い続けてやる。

俺はお前を愛してる。

お前以外、愛せない。お前以外いらない」

「いらないって言ったって、捨てていいものではないわ」

「国を捨てるのが駄目だというなら、もう一度俺の妃になればいい」

「なにそれ、また脅し?」

 雪蓉は劉赫に抱きしめられながら、笑って言った。

以前は、こんなこと言われたら怒っていた。

でも今は、脅しさえも可愛く感じる。

「雪蓉が雪蓉らしくいたいのなら、そうできるように必ずしてやる。

雪蓉が宮廷料理人になりたいなら、皇后だろうと働ける環境を整えるし、誰からも文句は言わせない。

今回俺が皇帝を捨てたことで、俺の本気は重臣たちに伝わったはずだ。

雪蓉が俺に皇帝に戻れというなら戻るけど、それはお前が皇后になることが条件だ」