「いられるわけないでしょう。私は、仙なのよ。人間じゃないの」

「関係ない。人間だろうと、人間じゃなかろうと。

雪蓉は雪蓉だ。俺の一番大事な人だ」

 胸が苦しいほど締めつけられる。

好きな人からそんなことを言われて嬉しくないはずがない。

でも……。

「ごめんなさい、嘘をついた。私、仙にはなっていないの」

「は?」

「なれなかったみたい……仙には」

 それまで真剣な表情だった劉赫の顔がどんどんほころび、今にも泣きだしそうな笑顔で雪蓉を抱きしめた。

「……良かった」

 絞り出すような切ない声音に、雪蓉の胸がぎゅっと締めつけられる。

心から安堵している様子が伝わってきて、心配させていたことを知る。

「人間じゃなかろうと関係ないって言っていたのは誰よ」

 雪蓉は、どこまでも素直になれない自分が嫌だなと思ったけれど、仕方ないのだ。

劉赫の気持ちに応えることはできないから。

ただ、抱きしめられた腕をほどくことはできない。

駄目だって分かっているけど、もう少しこのままでいたいと願ってしまう。