帰ってきたら、無条件で歓迎されると思っていた。

「雪姐が突然いなくなって寂しかったよ、大変だったよ」と腰にすがられて泣かれることを想像していたのに。

(皆は、私が帰ってきて、嬉しくないのかな。……いや、違う。

皆は、私が幸せを掴んだと思って喜んでいたんだ。それなのに……)

 普通に考えれば、頼れる両親も、身分もない女が、後宮に上がることなどありえない話だ。

さらに寵愛を受け、貴妃という最高位に近い位を与えられたのだ。

小さな女巫たちが、雪蓉は最高の幸せを掴み取ったと思うのは当然のことだろう。

 そしてそれを我が事のように喜んでくれていた。

ありがたいと思うべきなのだ、本当は。

(でも私は、妃になんてなりたくなかった)

 ……皆と一緒に暮らしていたかった。

 劉赫にほのかな恋心を抱いたのも事実だ。

でもその気持ち以上に、ここでの生活が恋しかった。

いうなれば、それまでの気持ちだったのだ、劉赫への思いは。

全てを捨てて、彼の側にいたいと思うほど強い気持ちではなかった。

(私、皆のお荷物になっちゃったのかな)

 雪蓉は、膝を抱えてうずくまった。

 必要性を感じないだけで、居場所がないわけではないと思っていたのは思い上がりだった。

雪蓉の居場所なんて、もうどこにもない。

十歳近くも年が離れている子供たちに心配されては、雪蓉の立場がなかった。

「珍しく落ち込んでおるな」

 誰もいなかったはずなのに、声が聞こえて、雪蓉は驚いて顔を上げた。