人ではない、仙になってしまったから、劉赫の側にいることはできないと思って、里山に帰ることにしたのに、まさか仙になっていなかったとは。

 だからといって、今さら妃に戻る気は毛頭ない。

これで良かったのだ。

妃なんて窮屈なだけだもの。

 無事に饕餮に料理を捧げ、それが終わると雪蓉は畑仕事に、小さな女巫たちは家畜の世話をするために別れた。

 久しぶりの畑仕事に精を出す。鍬を持ち、怒涛のごとく土を耕していく。

 体がなまっているかと思いきや、全く衰えていなかった。

むしろ向上している。

平低鍋を振り回して、男たちの頭に殴りかかった経験が活きているのだろうか。

(妃になっても体は鍛えられるのね)

 他の妃嬪たちが聞いたら、全力で否定されるであろうことを、雪蓉は思った。

あの時、雪蓉以外の妃嬪たちは後宮で大人しくしていたし、平低鍋を振り回していたのも雪蓉だけだ。

 雪蓉は、あっという間に畑仕事を終えると、鼻歌交じりに居宅に戻った。

部屋でゆっくり休むこともできるが、小さな女巫たちの仕事を手伝ってやろうと思っていた。

(雪姐がいてくれると、楽で助かるわね、なんて言われちゃったりして)

 自らの株を上げようと、意気揚々と家畜場に行くと、小さな女巫たちは集まって何やら深刻そうに話し合っている。

(どうしたのかしら……)

 彼女たちに気付かれないように近寄って行くと……。

「ねえ、どう思う?」

「やっぱり雪姐は、皇帝陛下に愛想を尽かされちゃったのかな?」

「女らしくないってことが知られちゃったんだよ」

 何の話かと思ったら、まさかの自分の話だった。

 しかも、何やらあまり好ましくない方に勘違いされている。