「さあ、できたわ。仙婆のところに行くわよ」

 大皿には、山盛りの料理が乗せられている。

酢豚や焼売、鳥の香味焼きなど品ぞろえも様々だ。

「はーい!」

 小さな女巫たちの可愛らしい声が厨房に響き、雪蓉は懐かしい気持ちになった。

(ああこの笑顔、癒される……)

 子供たちのためと言いながら、本当は雪蓉が一番心細かったのかもしれない。

 大皿に盛られた料理を、仙の住む居宅へ運ぶ。

「仙婆~」

 と小さな女巫が軒先から声をかけると、仙はとてもゆっくりとした足取りで外に出てきた。

腰も曲がっているし、いかにも足腰が弱そうな老体に見えるが、雪蓉はそれが演技であると知っている。

「おー、肩が痛い、揉んでおくれ」と言って小さな女巫たちに揉ませ、自分は家事など一切やらず、至れり尽くせりでいたいがための演技なのだ。

 知ってしまうと多少複雑な気持ちにはなるが、これまで通りの態度は崩さないし、小さな女巫たちに真実を告げる気もない。
 仙はこれでいいのだ。

そのために私たちがいるのだから。

「どれどれ」

 と言って仙は味見をし、小さく頷いた。

味は合格のようだ。

あとは、仙術をかければ完成だ。

 仙が料理に手をかざし、仙術をかけようとしたところで、雪蓉が口を開いた。

「待ってください! 私にやらせてください!」