海雨の退院祝いで、四人で出かけることはたまにあった。
ふと、ママと同じ顔のシス――妹を思い出した。
「もし出来たら、ママ――母の妹も一緒していいですか?」
「真紅ちゃんのお母さん、妹さんいるの?」
「はい。その関係で影小路の家にも戻ることになったんです」
「いいわね。お話ししてみたいわ」
にっこりする海雨のお母さんに頭を下げて海雨にも声をかけて――海雨はまた布団にくるまってしまったので――、病院をあとにした。
海雨は何かあったのだろうか。心配だけど、本人が話せるのを待つよりほかないようだ。
黎に逢えない淋しさと、海雨の心配。私の心を占める大部分は、大事な人たちのことだ。
明日から、黎と少し逢えない日々。
……淋しさも、黎との恋の一部だと言い聞かせて。