「海雨ごめん~っ、あ、おばさんこんにちは」
「こんにちは。真紅ちゃん、いつもありがとうね」
「いえっ、長く席を外しててすみませんでした」
頭を下げると、海雨のお母さんはこそっと言って来た。
「いいのよ。彼氏と仲いいのは何よりよ」
「………。~~~っ」
ば、バレテル。
「お、おばさん、それ誰から――」
「澪くんから」
「澪さんっ⁉」
な、何がしたいんだあの人は……。
「それで――海雨はどうしたんですか? 体調悪い?」
布団にくるまって丸くなっている海雨を見て、首を傾げた。
海雨のお母さんの落ち着いた様子から、大事ではなさそうだけど……。
「実はね、
「お母さん! いいの、言わないでっ」
がばっと海雨が布団を跳ね上げて飛び起きた。その顔は真っ赤だ。
「海雨? 熱あるんじゃ……」
「違うのよ、真紅ちゃん」
「お母さん!」
海雨は顔を真赤にして止めた。
「真紅、あの、今度、頭、整理、できる、話す、から、もう、門限、時間」
何故かカタコトの海雨。
どんだけ動揺してるんだ。
しかし最後の言葉で、時計に気づいた。もう帰らないといけない時間だ。
影小路の家に住むようになって、紅緒様から門限が言い渡されている。
「あ、じゃあ、また来るね。おばさんも、またお話してください」
「うん。海雨が退院したら、また真紅ちゃんのお母さんも一緒にご飯でも行きましょ」