私は知っている。

何故『始祖の転生』と呼ばれる魂があるか。

始祖の転生とは、そもそもなんであるか。

なんのために、生まれ変わり続けるのか――。

力を取り戻し過去世の記憶が芽生えた私は、総てを知った。


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朝。目が覚めると、のろのろとした動作で身体を起こしてから、枕元の二つのカゴを見た。

一つは式となった紅姫のもの。もう一つは、変わらず私の傍にいてくれるるうちゃんのもの。

二基の仲は良好で、るうちゃんが私の右肩、紅姫が左肩によくいる。両方とも重さを感じないから問題ないのだけど、触覚は有効なのか、しょうじきくすぐったい。

ぐっすり寝ている二基を見て、頬がゆるむ。可愛い……。

……紅姫が来た日に見た夢は、あの一度きりだ。

それ以外の夢に出てくるのはあの日。始祖の転生が、そう呼ばれるきっかけとなった日。

「紅、るうちゃん……」

……知っても、こうして傍にいてくれるかな?

小路の始祖たちが犯した禁忌を知っても、こうして傍で安心して眠ってくれるだろうか。

無垢の魂たち。

今の私の両手は小さい。小路に入ったばかりの頃は、こぼれ落ちしまうことは止められず、ただ焦るばかりだった。

でも、今は……私の両手は、片手で紅姫を抱きしめて、もう片手は大すきな手に繋がれていればいい。そうやって、少しずつ護れるものが増えて行けば。

今やれることは、総てじゃなくてもいい。

今日よりも明日、一歩も進んでいなくても、立ち止まっていても、涙まみれでも。

今ある大事なものは、なくさないように。

抱きしめた手は、繋いだ手は、はなさないようにしたい。

そう思うようになっていた。

始祖たちの禁忌を知って、更に強く。