「紅緒がちっちゃくなったみたいねえ」
「そりゃあ、ママと紅緒様って双児なんだから」
紅緒様に紅姫がママに見えたように、ママには紅姫が紅緒様に見えるのだろう。
……私の頭の中で、映像と字面がややこしい。
「でも残念だわ。猫さんの姿だけ見られないなんて」
ママが、ママの姿の紅姫の頭を撫でる。変化状態の紅姫は触れられもするんだ、と少し驚いた。
「紅ちゃん? 真紅ちゃんのところに来たのねぇ」
ママに頭を撫でられていい気分になったのか、また紅姫に変化があった。
「あら、この紅緒、耳が生えちゃったわ」
「紅、どうしたの?」
《はっ。すみません巫女様っ。気を抜くとつい……》
慌てて紅姫が頭を押さえる。
「可愛いわねえ」
姿が見える妖異を前に、ニコニコのママ。
「姉様! 紅姫と一緒に並んでくださいっ! 真紅! 紅姫を抱いたまま姉様のお顔に近づけて!」
変態――もとい、極度のシスコン妹が戻って来た。紅緒様のこの傍迷惑なテンションに、私は最早疲れも感じなくなっている。慣れとは恐ろしいな。
「紅緒様」
「なんです? 紅姫! 姉様の方を微笑み見るのですっ!」
私が呼びかけても、シャッターを切るのを止めない紅緒様。……並行して話すしかないな。
「私、紅を式にしたいです」