「ん?」
土曜日の朝。新聞を取りに玄関まで出ると、敷地の外――門の辺りに違和感を感じて覗いてみた。
「あ、猫?」
門の前には、三毛猫がうずくまっていた。
門を押し開けて、三毛猫に近寄った。
車の通りの少ない道ではあるけど、絶対に通らないわけではない。
寝ているのなら、起こしてやらないと危ない。
「猫さーん。そこいると轢かれちゃうよ―――」
と、三毛猫の傍にかがんだ途端、びっくりして言葉が消えてしまった。
「――ま、ママ! 紅緒様!」
反射的に猫を抱き上げて、家の中に飛び込んだ。
「真紅ちゃん?」
「どうしたのです」
二人とも朝の早い人たちなので、身支度はもうすんでいる。
慌てて抱えている猫を見せた。
「家の前に倒れてたんだけど、赤ちゃんが生まれるみたいなの」
私が言うと、二人して三毛猫を覗き込んで来た。
三毛猫は大きなお腹で、荒く息をしている。
「産みますね……子猫が二匹視えます。姉様、清潔なタオルと、一応湯をわかしてください。真紅はこっちへ、お産になりますよ」
紅緒様のてきぱきとした指示で、ママは台所へ、私は部屋の隅にタオルを敷いて、猫を寝かせた。
相当辛いのだろう、喉がひゅーひゅーと音をこぼしている。