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「海雨ちゃん来たよー!」
「百合緋ちゃん!」
病室に飛び込んだ百合緋ちゃんを迎えた海雨は、嬉しそうに破顔した。
「大丈夫? 今日は調子悪くない?」
海雨の前に立って問う百合緋ちゃんに、海雨も笑顔で返す。
「だいじょぶだよ。最近調子いいんだ」
後から入った私は半眼になる。
「なんでそこ、私よりラブラブなの」
「「え?」」
声を揃える海雨と百合緋ちゃん。
二人はともに私の友人ということで知り合ったはずなのに、波長でも合うのか、逢うとくっついて離れない。
言っても私も、本気で百合緋ちゃんに妬いているわけではない。
置いていかれた感があるのは否定できないけれど。
そして海雨の病状が若干ながら快方に向かっているのは、私が取り戻した力をコントロール出来るようになってきたからであってほしい……。
海雨に憑いていた妖異は、力を封じられていた頃の私の霊気にあたって滅ぼされたという見解だ。
今はその妖異の残滓(ざんし)が海雨にまとわりついているため、病は完全に治っていない。
けど、私がそれを祓うことが出来れば、海雨の病気は治るだろうとも二人は言っていた。
海雨を傷つけないように、影響を与えないように、海雨に残った妖異の気配を滅している途中だった。
「……なんで目を逸らすの、架くん」
「………なんでだろう……」
今日も一緒にいる架くんは、何故か百合緋ちゃんと海雨がベタベタしているのを見ていない。
明後日の方だ。海雨の様子を見に来た白ちゃんは、のんびりと一行を見守っている。
「賑やかだと思ったら、お前たちか」