【ご心配のこと、承知しております。私の過去世は大きな過ちを犯しました。ですから、私がここにいるのです。私は、繰り返さないことを誓います。影小路の人間として、斎陵学園の生徒として、貴殿にお誓い申し上げます】
語りかける前に、刀印を解いていた。こちらに攻撃の意思がないことを示す必要もあった。
《……クリカエスナ》
ふつりと、張りつめていた空気が和らいだ。百合緋ちゃんが大きく息を吐き出すのがわかった。
「大丈夫。私の言ったこと、聞いてくれたみたい」
「……そう」
百合緋ちゃんが安堵の息を吐いた。
「警告、だったのかな」
社から醸し出された香りが変わっていたことに気づいたのは、私だけだった。
私よりはるか上の力を持つ白ちゃんも黒ちゃんも気づいていなかった。
つまり、その変化した香りは私だけに届くようにされていたのだろう。
……ここの地神は、『始祖の転生』がどうしてそう呼ばれるのか、知っているのだろう。
だから、私を誘い出し警告を与えた。
「………」
ただ、拳を握る。
……承知しております。あのようなこと、もうあってはならない。
私は、始祖が何を行ったかを、知っている。