「いや、俺もタイミング悪かった」
「……大丈夫?」
紅緒様のお説教はひたすら攻撃してくるので、メンタルには負担だと思う……。
「大丈夫だよ。いつも受けてるものだし」
「………」
……それでも、黎がここまでの扱いを受ける謂れが私にはわからない。……自分が彼女でなければ、こんな扱い――
「真紅」
「ん?」
呼ばれて、ふっと顔が浮いた。ちゅ。
「―――、!?」
そのまま、黎の唇にぶつかった。いや――ぶつかった?
「!!!!!!!」
驚いた私が泡喰ってただ手を振っていると、黎はくすりと笑った。
「俺もね、すきだよ」
「!!!! ――――――」
耳元に囁かれて、キャパオーバーで固まってしまった。
「真紅のこと、すきだよ」
「………」
突然の展開にぽけーっとしてしまった私の唇に、今度は黎の方から触れて来た。
「……っ!」
「……この前は、いきなりしてごめん。なんかなー、もっと近づきたくて」
「………」
若干魂が抜かれた私は、ただコクコクと肯いた。
「真紅の彼氏、名乗っていい?」
問われて、徐々に魂が回収されていく。
「えっ、あの、れ、黎以外に名乗ってもらう人なんていないんだけど……」
「うん」
今度は頬を捉えられ、口づけられた。