……う、うわ~~~っ、黎の口から改めて言われると……恥ずかしいな、これ。……あれ? でも、海雨にも言われたけど、ちゃんと告白とかしてないけど……そう呼んでいいのかな? いや、そもそも私、黎に好きって言ってなくないか……?

黎と付き合うことは一連の流れの中で繋がった縁だからか、ちゃんとした『告白』というものがなかったように思う。

けれど今、隣にいるのはその本人だ。

「………」

これって……チャンス? ママと紅緒様公認で、一日一緒でいいんだよね?

心の中で拳を握った。

今日、絶対に黎にすきって伝えるっ。

「真紅、どこか行きたいところあるか?」

「えっ……と、……」

急に言われて、すぐには思いつかなかった。黎と二人きりなんて、想像の先すぎて。

「えーと……」

私が唸っていると、黎はその様子を見てくすりと笑った。

「急でびっくりだよな。どこか入って、それから考えるか?」

「う、うんっ」

黎の提案に、大きく肯いた。駅前の通りにある喫茶店に入ることにした。

「真紅は……そう言えば、鳥はいつも一緒なのか?」

テラス席に向かい合って座ると、黎が私の肩口を見ながら言った。

……なんで黎はるうちゃんのこと鳥って言うんだろう。

「うん。黒ちゃんが、傍に置いてくれてる。私がまだまだだから」

私の肩口にいる紫色の小鳥は、全く重さを感じさせないので、るうちゃんと会話しないでいるとつい忘れそうになってしまうほど近しい存在になっている。

お店や学校なんかでは、るうちゃんは私から離れて見守っていてくれる。

今も、るうちゃんは一度離れて、テラスに出ると戻って来た。

「ふーん。……」

「あの、黎? るうちゃんに喧嘩ふっかけないでね? この前るうちゃん怯えて大変だったから……」

夜道で偶然居合わせたるうちゃんを、黎はシメあげた過去がある。

「黒藤の式ってだけでなんか腹立つんだよなあ……」

黎がまた物騒なことを言えば、それまで微動だにしなかったるうちゃんが大きく身を跳ねさせた。

「黎……。黒ちゃんと仲悪いの? さっきは知らないみたいに言ってたけど」