小埜家に戻ると、玄関先でじじいと出くわした。 「じじい、澪は?」 「お? 部屋におろうが。……お前ら、何があったんだ?」 「……なんでもない」 心配そうな顔をするじじいを無視して、澪の部屋へ向かう。 「おい。……今頃来たか」 また、澪が机に突っ伏していた。さっきは平静だったけど、ショックが大きすぎて後からじわじわ来たのだろう。 だるそうな動作で、澪の顔が俺の方へ向いた。瞳までよどんでいる。 「あー、れいー。おじょうさんつかまったー?」 欠片も覇気がない。 「喧嘩になった」