「頼れって言ってるんだよ! なんのために俺がいると思ってんだ! 彼氏役やってくれとか無鉄砲なこと言って来たヤツが、なんで今になって全部自分で背負おうとする!」

「―――……」

真紅は、視線を地面に落とした。そして、一言だけ呟く。

「できない」

「――――」

摑んでいた、真紅の手首を放す。

「そうかよ」

言って、踵を返した。

「紅も鳥もいるから、心配ないよな」

真紅がこちらを見上げることは、なかった。

真紅に背を向けるのは二度目だ。一度目は、最初に逢ったとき。真紅をアパートの部屋に寝かせ、最期のときまで逢わないつもりだった。

でも真紅に見つけられてしまい、真紅から逃げることはやめた。

真っ直ぐにぶつかってきて、受け止めてしまったから。

……その真紅から、拒絶の言葉を聞いた。

悔しい。

自分では真紅の力になれない。支えてやることも出来ないのか?

……お前だけ、俺を必要としてくれた。それに応えたかった。でも、俺では足らないのか。