写真に見入っていたら、いつの間にか眠ってしまったらしい。気付いたら朝だった。
　部屋に差し込む朝日が眩しい。
　コウキはもう起きているのか？
　リビングに向かうと、何やらいい匂いがしていた。
「おう。朝飯作ったから食おうぜ」
「家事は私がすると言ったのに」
「悪い。俺、人が作った飯食えないんだわ」
　嘘だと思った。根拠なんかないけれど、コウキはきっととても心の優しい人だ。なんせ、どこの誰だか得体の知れない私を家に置いてくれているんだから。
「コウキは、優しいな」
　ポツリと私が溢すと「洗い物はマリアがしろよ」
　って意地の悪そうな笑みを浮かべながら言った。
　ほら、やっぱり優しい。
　コウキが作ってくれたのはお味噌汁に白米、卵焼きにほうれん草の和え物と典型的な和食の朝食だった。
　食事中に会話はなかったけど、温かいご飯に私は何故か涙が出そうになった。