「紅い人って、もしかして俺か?」

「ほかに誰がいるんですか。そんな紅い髪、今どきヤンキーでも抵抗ありますよ。それにそんな着流しで一緒にいたらあたしまで変人に見られるじゃないですか」

「実際変だろ、李」

「紅髪鬼に言われたくないです。それより櫻(さくら)――」

「……ああ、わかってるよ」

櫻と呼ばれた、長身で紅髪、着流しの男は去っていく二人の幼馴染を見ていた。

「俺が見えたってことは……ちょっと危ないな……」

「……あたし、先生ですけどそちらまでは干渉出来ないです。櫻……あたし、二人には幸せになってほしいですよ」

切なげに瞳を細める李の頭を、櫻は軽く撫でた。