おうぎょうでなく、さりげないものをと思っていた。

何かの番組で、ブラジルの元サッカー選手がミサンガをしていたことを知った。

WEBでミサンガの編み方を検索し、作り方の動画を観ながら、何本か試作した。

派手過ぎず、素っ気なさ過ぎず、爽やかな感じに仕上げたかった。

試合頑張ってという口実で渡したけれど、2年生になってクラスが分かれ、たまにしか一緒に帰らなくなったり、たまにしか話さなくなった仁科くん。

サッカー部で活躍しだして人気も出て、ファンだという女子もたくさんいて、自分はその他大勢だと思うと、寂しくなった。

前みたいに話したい、そう思ってひと編みひと編み、感謝の気持ちを込めた。

「小鳥遊がいいんだ」と言われた時、本当はすごく嬉しかった。

「試合に勝ったら、付き合って」

試合に勝たなかったら? と思うと、素直になれなかった。