小鳥遊は得意げに訊ねて、さらに続けた。

「足首か手首に結んで願掛けか約束すると、切れた時に願掛けしたことや約束が叶うらしいよ」

俺は小鳥遊に言われるまでもなく、ミサンガを知っていた。

ブラジルから日本に帰化した往年の元サッカー選手が、全盛期に着けていて有名になったものだ。

別名、「プロミスリング」とも言うらしい。

「へぇ~、ありがとう」

俺は今、知ったみたいな感じで答えた。

「着けていいかな」

「うん」

袋からミサンガを取り出し、手首にと思ったが、そうだなと迷って足首に着けることにした。

小鳥遊は俺がサッとしゃがむと「サッカーの邪魔にならないの?」と言いながら、ミサンガを俺の足首に手際よく結んだ。

「小鳥遊、試合に勝ったら俺と付き合わない?」

「わたしでいいの? 仁科くん、たくさんファンの女子がいるじゃない!?」