図書室の窓越しに見上げる銀杏の木が黄色く色づいていた。

俺は読み終えた本の裏表紙を開いて、貸出しカードを確認した。

「小鳥遊」

俺の名前の上にある名前にハッとし、首をかしげる。

「たしかーーこの間、借りた本にもこいつの名前が」

思い返して1週間前に借りた「時空警察」の貸出しカードを確めた。

「やっぱり」

さらに1週間前に借りた本の貸出しカードも確める。

「これも」

5週間ぶんの本をさかのぼり、貸出しカードを確めた。

「小鳥遊」の名前が俺の上にあるのが偶然ではないことを確信した。

「へぇーーっ、なんかスゲーな」

思わず、口に出していた。


小鳥遊ーー小鳥遊茉莉(たかなしまつり)


おととし、入学式の日。

「あった、あった。俺の名前」

校舎3階、貼り出された掲示板の名簿を1枚ずつ確認して、誰もがはしゃいで各々の教室に入っていく。