紗世が何も言えずに俯く。

「結城は紗世ちゃんを育てるために無茶をする。今だって、紗世ちゃんが結城について出かけるようになって、結城には内外から嫌がらせが、相当数あるみたいだ」

「えっ!?」

「結城が紗世ちゃんの耳になるべく嫌なことは、入れないように動いてるし、嫌がらせを最小限にするために神経を遣ってる。結城は隠してるけど、仕事に差し障るような嫌がらせもされてるようだ」

紗世は涙が零れそうで、顔を上げられない。

「紗世ちゃんがもし、危ない目に遭うようなことになったら、体を張って紗世ちゃんを守ろうとする。だけど、結城は無理しゃいけない体なんだ」


紗世の目には、涙が溢れて瞬きをすれば零れおちそうだ。