「どうして愛里まで、そんなこと言うの!」

紗世は運ばれてきた定食を口に運ぶが、砂を噛むようで少しも味がせず、喉を通らない。

「紗世。それにね……結城くん、コクった人を全て断ってるんだって。女嫌いじゃないかって……もしかしたらね、オネェ好きかもしれないって」

「オネェ様が好きって何?」

「何度か、見た人がいるんだって。オネェ様とキスしてるとこ……」

「酷い……ひどいよ」

紗世は目に涙を溜めて、絞り出すように呟く。

「そんな人じゃない……結城さんは厳しいけど……違う。少し変わってるけど、そんな人じゃない」

紗世の頬に涙が伝う。

大粒の涙がポロポロと……。

「紗世……」

「違う……わたしの知ってる結城さんは……そんな人じゃない……」

紗世の涙はいつまでも止まらなかった。