紗世は、結城が他の部署からどんな風に思われているんだろうと、首を傾げる。

「見た目が綺麗で優しい顔だけど、仕事ができるのを鼻に掛けて、めちゃくちゃ俺様で態度が大きいって、誰かが……」

「そんなことないよ」

紗世は頬をぷくり膨らませて、愛里の言葉を遮る。

「結城さんは凄く丁寧で、解りやすく教えてくれてるよ」

「そうなの?」

「エロおやじさんに迫られた時も『俺の部下を口説かないでもらえますか』って、ハッキリ言ってくれたし」

「ヘェ~」

「遅くなった時はちゃんとマンションの下まで送ってくれるよ」

「なんか意外……」

「わからないことや間違いは、その都度きちんと説明しながら、わかるまで教えてくれてるし」

「あの結城くんが!?」

「作家先生からの評判も凄くいいよ」