「麻生、元気でやってるか?」

書類の挟んだファイルを手にした小今田が、紗世の姿を確認し、人懐っこい笑顔を向ける。

「はい、部長」

「結城が上司だってな。結城は厳しいだろ? 大丈夫か?」

「厳しいですが、仕事が楽しいです」

「そうか、頑張れよ」

「はい部長、ありがとうございます」

初めは着いていけるのかと、紗世は不安だった。


が、今は楽しいと確かに言える。

紗世より、1つ年下なのに紗世よりも半年先輩の結城。

上から口調で偉そうで、グサリ刺すような言葉も容赦ない。

なのに、整った綺麗で優しい女の子みたいな顔で言われると、紗世はドキドキしてしまう。

体が弱いと言う結城。

目眩を起こしたり、鼻血を出したり、夕刻頃には熱を出したり、度々辛そうにしている。

紗世は結城が、机に突っ伏し寝ているのを見ると、胸がチクリと痛む。