結城の震える声。

結城の震える手が紗世の手を握っている、しっかりと。

凍えたように冷たい手が、怯えを紛らわすように、ギュッと。

――何があったんだろう

紗世は結城の手をギュッと、握り返しながら結城の表情が気になって仕方ない。

西村がフッと溜め息を漏らす。

「結城くん、君のそんな顔も中々いいね。紗世ちゃん!」

「……はい」

西村の紗世に向ける顔は穏やかで優しい。

「紗世ちゃん、またおいで。待ってるよ」

西村は言いながら、結城の肩にそっと手を置いた。