西村が結城を舐めるように見つめている。

服の下に隠れた結城の全身を下から上に、視線が這うように動く。

「結城くんは何かスポーツをやっていたのかね」

「俺が……ですか? まさか、俺はスポーツなんてできませんし、体育の時間はいつも見学していました」

紗世も西村も目が点状態だ。

紗世にいたっては、最早遠い目を向けている。

「医者と運動専門家指導の下で、科学的検知や体力面も考慮して、ジムプログラムメニューを決めて、筋トレをしています」

――何も頭に入ってこない
日本語を話しているのかどうかさえ、わからなくなりそう

紗世は兎に角、結城の体脂肪率が6%という、とんでもない数字だということを理解した。

「結城くん、実に面白いよ。
君を主人公に小説が書けそうだ」

西村は脂肪まみれの三段腹をワサワサ揺らし、大口を開けて笑った。