結城が車を運転しながら、紗世に訊ねる。

「マニュアルでわからなかったことはあるか?」

紗世は口に人差し指を当て、マニュアルの文章を思い出す。

「ん……とぉ、エロおやじさんは字が汚いって書いてありましたよね」

「ああ、パソコン使えない人だからな。手書き原稿だ」

「読めないくらい酷い汚文字なんですか?」

「ハイテンションになると汚文字になる……!? ちゃんと読んだのか」

結城の声が冷たくなる。

「読みましたよ~」

「読んだだけで、頭に入ってないだろう?」

「1回読んだだけで覚えられませんよ……」

「たったあれっぽっち、頭に入れられないのか」

「あれっぽっちって、B5のルーズリーフにイラスト抜きで、3ページはありましたよ~」

「……信じられない読解力と記憶力だ。脳ミソの皺、バーコード程度しかないんじゃないか?」