西村嘉行は電話口で有らぬ妄想をしていそうな笑い声だったが、どこか元気がなかった。

沢山と梅川、西村は、結城のゴースト疑惑について「それが本当なら面白い」と付け加えた。

数日後。

編集長「渡部」は、小今田からの通報で、重役に呼び出された。

渡部は真意を問われ、事実をありのまま話す。

重役はゴースト要素はないと判断し、有らぬ疑惑を流し、会社に不利な状況を与えかねないとして、小今田の処分を検討中だ。

渡部は相田に「浅田の処分も何とか……」と漏らす。

「そうですよね。あいつには結城も痛い目をさせられてますからね」

渡部が苦い顔をする。

「あの件では、お前の彼女も未だに治療中だろ」


「ええ、結城には会いたくないと言っています。結城が悪いわけではないのに……結城、あいつの方が傷ついているのに」

「クソッ」

机を叩きつけた渡部の顔が歪む。