黒田がヒールを鳴らし、結城に駆け寄る。

「俺が勝手に……」

結城の呼吸が更に乱れる。

「由樹、わかったから……落ち着きなさい」

黒田は言いながら、結城の背をさする。

「紗世……お前は口を出すな……」

「結城、バカはお前だ。何、怒鳴ってるんだよ。体に負担がかかるだろ」

結城は胸を押さえたまま、ただ呼吸も整える。

「……お前が関わってると……ヤバいんだ……」

結城は胸を押さえて、息をつく。

「……お前がでしゃばると迷惑だ……」

結城は絞り出したかと思うと、喘ぎながら踞った。

「結城!?」

黒田が慌てて結城の上着を漁り、薬を取り出す。

「結城さん!?」

紗世が恐る恐る声をかける。

黒田が結城の口を抉じ開け、薬を入れて悲痛な表情をする。

「何でお前がそこまでムキになるんだ」