「麻生を俺のアシストから外してください」

「はあ?」

「……万萬詩悠の件で麻生を巻き込むわけにはいかない」

「話が見えないんだが」

結城は渡部に、屋上での経緯を耳打ちする。

「……そうか。万萬のことは薄々、気付いていたよ。『限りなくグレーに近い空』続編の話をした時にな」

渡部は、ため息混じり口にする。

「結城、小今田と浅田の件は上部でも調査中だ」

渡部は何事もないように、どっしりと構えている。

「部長、万萬のことが表沙汰になれば麻生が」

「麻生は知っているんだな」

「……はい」

「わかった。麻生のことは心配するな」

「俺が……姉の嘘を利用しなければ」

「結城、そのことは伏せておけ。いいな」

「でも……」

「あの頃のお前は、本当に喋れなかったんだ。気にするな」