「相田さん、俺は大丈夫ですよ。俺なんかのことより、彼女大事にしてください」

結城は相田の思いを察するように言う。

パソコンを閉じ、すくと立ち上がる。

「結城?」

相田が結城に掛けた声。
結城は聞こえなかったように室を出る。

結城はエレベーターに乗り、屋上に向かう。

――詩乃、なんで嘘なんかついたんだ。本当に……聴唖で喋れなければよかった

結城は空を見上げて思う。

――ただ、発散するものがほしかっただけなのに……。
ただ、思いを吐き出しただけなのに……

結城はコンクリートの上に、寝そべってみる。


どこまでも続く空をただ見つめる。

――いつかはバレる嘘だ。
今までにバレずにいることが不思議だ

寝そべったまま、空を見つめ続ける。


――何で……紗世に正体、明かしたんだろう。
何で……あんなに素直に