――もしも結城が本当に万萬なら……いつかは万萬詩悠の正体がバレる

相田は、それを考えると結城は果たして大丈夫なのかと、不安で仕方ない。

また、喋れなくならないか? 前よりも強いショックを受けないか?

編集の立場から、作家の立場になることで、ストレスやプレッシャーに潰れてしまわないのか?

更には、今まで以上に敵を作ることになるのではないか?

相田は結城と腹を割って、話したい気持ちでいっぱいだが、結城自身が心を開かない限り、それは無理なのだと、諦めるしかない。

自分に何かできることはないか? を考える時、いつも思うのは、彼女のことだ。

まだ上手く喋れなかった結城の補佐になればと、渡部編集長が結城の部下にした新入社員。

せめて彼女が、社会復帰できるくらいに立ち直れば、結城は救われるのにと思う