「……体調も崩して、精神的にもまいってて、眠剤や安定剤を幾らも飲まなきゃ眠れなかった……今より発作も多かったし、発作が起こるたび……怪我をしたのが自分なら良かったと思ってた」

「！……」

「黒田さんや編集長に言われるまま、黒田さんの担当してた先生達の原稿を任されて……病院通いをしながら、必死で黒田さんみたいになろうと思った……」

結城は抑揚なく淡々と、息を継ぎながら話す。

「事故後、半年近く経った頃、補佐として新人を付けられた……浅田との事件はそれから間もなくだった……」

結城は真っ直ぐに紗世を見つめ、言葉を選びながら話す。

「俺がふった腹いせなのか、有らぬ噂や批判、中傷までされてる相手を……受け入れることも許すこともできなくて……上手く言葉も出て来ずに……浅田の逆鱗に触れたんだろうな」