「独特の世界観と文章の纏まりは認めますけど……」

「そう言わず、見ててみろ。万萬詩悠は必ずアタルぞ」

結城はそう言われても、やはり渋い顔をし溜め息をつく。

「で、由樹。今日のスケジュールは?」

「今日は特に出かける先もないので、頂いた原稿の校正作業と、月刊誌インタビューの原稿興しですね」

「体は本当にいいのか?」

「ええ、大丈夫」

「由樹、例の件はパスワードがどうにか解けそうだ。後で詳しく話す」

「例の……わかりました」

渡部と結城の意味深な会話は、紗世にはさっぱり訳がわからない。

紗世にわかるのは、結城が嘘つきだということ。


結城は、ゆっくりと席につき、倒れるように座ったかと思うと、机に突っ伏した。

「結城……さん!?」

「30分で起きる」