相田の顔が曇る。

紗世は何も言えずに、次の言葉を待つ。

「『相田さんに俺は今、すみませんとしか言えない。俺は、屋上で自分の気持ちを落ち着かせ、現実と向き合う覚悟を確かめにくるしかできない』結城はそう言って寂しそうに笑ったよ」

紗世の目に涙が溢れる。

「万萬がもし、結城だったとしても……それで結城が立ち直れるなら、俺はそっと見守りたい」

紗世の頬に涙が伝う。

「紗世ちゃん。結城が笑顔になれるまで、傍にいてやって」

紗世は頬に伝う涙を拭い、相田を見つめ頷いた。


「ん、結城とさっき電話で話したよ」


「どうでした?」

「ん、少し辛そうだったけど明日は出勤すると言ってた」

「大丈夫なんですか?」

「本人が出勤するって言ってるから、大丈夫だろ」

紗世はニコリ微笑む。

「紗世ちゃんは、笑顔がいいよ。ホッとする」