相田を介し沢山江梨子に対面し、結城は丁寧に挨拶する。

「噂以上のイケメンね」

沢山江梨子の視線が、結城を上から下まで舐めるように移動する。

頭がクラクラしてきそうな香水の匂い。

「素敵な香りですね、先生のお宅は」

紗世は心にもない言葉を吐き出す結城の真意が見えず、結城の顔を見上げる。

「そうでしょう? フランスから取り寄せた香水なの」

「高貴な香りです……でも、俺みたいな青二才には刺激的過ぎて、玄関から此所までくるだけでクラクラして」

「あらっ、そんなに刺激的だったかしら」

厚化粧をした顔、テカテカしたグロスを塗った唇、どれをとっても好感度ゼロだと、結城は思う。

「沢山先生、連載中の『空を詠む』読ませて頂いています」

「ありがとう」