紗世は結城の顔を思い出す。

いつも自信満々で何をしても、そつなく迅速に、完璧な仕事をする結城からは、想像できない。

「紗世はホントに何にも知らないよね。結城くんって社内で1番人気のイケメンなのに」

「だって、広報部って外回りが多いし残業ばっかりだったんだもん」

紗世は、興味がない訳ではないことを付け加える。

「結城くん、プロフィールが凄いし仕事できるし、颯爽としていてイケメンなのに、儚げな感じがいいでしょ?」

「ん……よくわからないけど」

「でもね、浮いた噂が全くないの。告白しても、素っ気なく断るので有名なの」


「ねえ、喋れなくなっていた時も1人で担当とか外回りもしていたの?」


「そう聞いてるけど。黒田さんの引き継ぎを全部回っていたそうよ」


「……凄い」


「口述筆記もするんでしょ!? 超高速打ちで」