紗世は慌てて言い直す。

「……ふーん、敬語使えるんだ。沢山江梨子は手強いぞ~」

結城は悪戯っぽく微笑む。

結城はその間も手を休めない。

紗世は結城が鞄に入れていくものを、マジマジと見ている。

明らかに何かがおかしいと思う。

ノートパソコン、筆記用具、ファイル、ハンカチ、タオル、靴下、財布、名刺入れまではまともだった。

500mlのミネラルウォーター、携帯ティッシュ、除菌スプレー、次々と鞄に入れていく。

更に携帯用カイロ、携帯酸素ボンベ缶、熱冷まし用冷却シート、青汁スティック。

「えっ!?」

――おかしい、絶対に変、何かが変

紗世の目は皿を通り越し、点になっている。

「何か?」

結城は視線を感じて、ゆっくり訊ねる。

「あの……結城さんて年はお幾つですか?」

「俺? 22だけど……」