「麻生は、そのまま游がせておけ。油断して何かが釣れるかもしれん。……ったく、ゴーストなんて」

「由樹がゴーストなんて有り得ません」

「当たり前だ」

渡部は苛ついたように吐き捨てる。

黒田の握りしめたスマホが、怒ったようにバイブする。

黒田は素早く操作し、いきなりの声に、悲鳴を上げた。

慌てて電話を切りメールを打つ。

――バカなの? 沢山江梨子に聞かれたくないからメールを送ったのよ

――バカ、酷いですよ。って、何事ですか?

――だ▪︎か▪︎ら、聞かれたくない話なのよ。由樹の噂が絡んでて

――由樹? ああ、ゴーストの件なら先生はご存知ですよ

――ウソっ!? 沢山先生の耳にも入ってるの?


――はい、すっごいご立腹「只じゃおかない」って

相田が暢気に、笑い顔を添える