「……大丈夫」

結城は溜め息1つ、黒田に呟き、渡部の席に向かう。

「万萬詩悠、麻生くんに任せてみようと思う」

「麻生に……荷が重くはないですか?」

「そうだな。由樹、お前は手話もできるだろう?」

「ええ、まあ」

「それに、ネットカフェで意気投合したらしいじゃないか」

「意外でしたよ。万萬がネット将棋敵無しのハンドルネーム『四光』なんて」

「はあ? 将棋……」

「ええ」

「……渋すぎるだろ」

「そうですか? 同じ形を消去する単純なゲームより、格段に脳活できます」

「そうだな……麻生のサポートを頼む」

渡部の華麗なスルー、結城は憮然と頷く。

「由樹、例の件は此方でも調べている。お前は1人で背負うなよ、いいな」

「はい」