結城をキリリ男前にしたような顔が、優しく言う。

翌朝。

紗世はグリーンノートの香りと、細く甘い声で起こされた。

正確には……。

「おい、いつまで寝てるんだ。7時前だ。1時間のロスタイムだ」

紗世は、冷えたミネラルウォーターのペットボトルを、頬に押し当てられ飛び起きた。

「やっぱりな、65Aカップだ」

紗世は慌てて胸を隠す。

確かにサイズはピッタリ合っている。

昨晩。

風呂場に用意されたボディーソープもシャンプーも、仄かに香るフローラル。

普段は来客用だという部屋をあてがわれた。

「昨日の服は紙袋の中、そこに用意した服……姉貴が着て行けって」

ハンガーにかかった清楚過ぎない上品なスーツ。


紗世は大きな目を丸くし、瞬たく。

「姉貴、トータルビューティーコーディネーターだから」

結城はさらりと言って部屋を出る。